落語家とバラエティプロデューサーが語る、運と落語 立川談慶師匠×角田陽一郎さん
「この前、パンケーキ屋に行って来たんだけど、これがビックリするくらい美味しいの!生クリームと抹茶のハーモニーがたまらないの!本当におすすめ!」
「ふーん、そうなんだ」(後日忘れて、何もアクションはない)
…
この「ふーん」という言葉をよく使っている人は要注意。
なぜなら、「ふーん」は「不運」を引き寄せてしまうから——。
本日は、立川談慶師匠と角田陽一郎さんの考える「運」の高め方を紹介します。
【目次】
プロフィール
立川談慶(タテカワ ダンケイ)
1988年慶応義塾大学経済学部を卒業後、㈱ワコールに入社。
セールスマンとしての傍ら、福岡吉本一期生として活動。
平成3(1991)年4月立川談志門下へ入門。前座名立川ワコール。
平成12(2000)年12月、二つ目昇進、談志より「談慶」と命名。
平成17(2005)年4月、真打ち昇進。
平成22(2009)年から二年間、佐久市総合文化施設コスモホール館長に就任。
平成25(2013)年、「大事なことはすべて立川談志(ししょう)に教わった」(KKベストセラーズ)出版、以来、「落語力」「いつも同じお題なのになぜ落語家の話は面白いのか」「めんどうくさい人の接し方、かわし方」「落語家直伝うまい!授業のつくり方」「なぜ与太郎は頭のいい人よりうまくいくのか」「人生を味わう古典落語の名文句」など「落語とビジネス」にちなんだ書籍の執筆。
NHK総合「民謡魂」BS日テレ「鉄道唱歌の旅」テレ朝系「Qさま!」CX系「アウトデラックス」「テレビ寺子屋」などテレビ出演も多数。
角田 陽一郎(かくた・よういちろう)
バラエティプロデューサー
1970年千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。TVプロデューサー、ディレクターとして「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」など、主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社goomoを設立(取締役〜2013年)。
映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出、「ACC CMフェスティバル」インタラクティブ部門審査員(2014,15年)その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。
いとうせいこうとユースケ・サンタマリアがMCを務めるオトナのためのインディペンデンス型トーク番組「オトナの!」を制作(2012年1月〜2016年6月)。「OTO-NANO FES! オトナの!フェス」を開催。
2016年12月31日付でTBS退社。
2017年1月より「オトナに!」(TOKYO MX)、「イク天 イク天〜イクぜ、バンド天国」(BS-TBS)などプロデュース。
2017年7月より、「占いTV」総合プロデューサー(〜2018年6月)
2018年2月より、株式会社テクサ社外取締役就任。
6月より、オンラインサロン『サッカソン』
7月22日ミュージシャンmeiyo(メイヨー)プロデュース開始
「落語家とバラエティプロデューサーが語る、運と落語」に参加した学びを共有します。
「最近なんだかついていないな…」
そんな悩みを抱えているあなたに必見の情報が満載です。
神社のお参りではお願いをするな
みなさんは神社のお参りに行った際、どうしていますか。
「二礼二拍手一礼。さぁ神様、私の願いを叶えておくれ」となっていませんか。
角田さん曰く、「神様にお願いしてはいけない」。
「皆さんは、お参りに行ってお願いしてはダメなのを知ってますか?
神様にはお願いをするのではなくプレゼンをするのです。
『もし、100万円をくれたら世のため人のため、自分のためにこんな素敵なことができます!』と。
『そのプレゼンがよければ100万円をやるよ』というのが神様なんです」
祈祷の時間が40分ほどある中で、黙るのではなく小声で口に出すことがポイント。
なぜなら、言霊があるから。
アドバイスの最後に、こんな言葉を投げかけます。
「ここまで言った挙句、あなたは九頭竜神社に行きますか?
ここまで聞いて本当に行く人は、結局なんでもやるんです」
他力本願の人は、結局チャンスを逃す。
行動するからこそ、運が巡ってくるのです。
パワーのつまった九頭竜神社が、みなさんの参拝を待っています。
今すぐスケジュール帳のチェックを。
星座をつなぐ
全然関係ない人同士がたまたまつながり、最終的に面白い企画になることが多いという角田さん。
親交のある水道橋博士も同じ現象が起こるそうです。
「たとえば、獅子座という星座がありますが、あれは地球から見たらたまたま獅子の形に見えているということ。
当然、地球からの星と星の距離は違うわけです。
このように全然関係ない人同士が偶然関係ができることを『星座がつながる』と言っています。
一年前、たまたま僕が話した内容と、博士、そしてコトブキツカサの3人考えていたことが、全く同じことがありました。
あまりに星座が完璧につながったので博士に聞いたんですよ。
『僕も博士もつながることが多いじゃないですか。それには何か理由があるのでしょうか?』
すると博士は、こう答えました。
『だって、俺も角田もいろんなところに顔を出しているから。
あらゆる星が周りにあるんだもん。
そりゃ、どこかに行くだけで自動的につながるよ』
みんな『出会いを大事に』と言うが、まるで何も星がないところに探してる。
むしろ星は周りに死ぬほどあるんです。
それに何となくアクセスするのを10年も続ければ『あー、これは5年前の星だ』とつながってきます』
ここでの大事なことは、出会いを「狙っていない」ということ。
運を呼び込まない人は、「どうすれば売れるのか」「あのマネージャーなら聞いてくれるんじゃないか」という感情が入り混じる。
談慶師匠曰く、「今の世の中は目先のことにとらわれているため、このような行動に走ってしまう」と語ります。
スティーブ・ジョブズも「点と点をつなげる」重要性を、かの有名なスピーチで語っています。
スティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式辞 日本語字幕版
気づかぬうちに、周りでは「つながり」ができているかもしれません。
アンテナを張りめぐらせ、受け取る力も欠かせないのではないでしょうか。
一言多いと二言多いの違い
幼少期から口が達者であった角田さんは、父から「二言多ければ、落語家になれるのに」と言われていました。
大人になっても一言多いと二言多いの違いがわからなかったものの、さんまさんと仕事をしてある気づきを得たというのです。
「『恋のから騒ぎ』という番組がありましたよね。
そこで、さんまさんは女の子のことを、イジるじゃないですか。
『お前ほんと男にだらしいな』と。
一言はそこで終わるのですが、さんまさんは二言目を足すんです。
『お前ほんと男にだらしいな、そんなに可愛いのに』
『そんなに可愛いのに』
それがあるだけで全部褒め言葉になる。
『二言多いとは、これだ!』と、さんまさんから学びました」
「そう考えると、一言多いツッコミは簡単。
仮に真実だとしても、ある作品や人を腐すことは誰でもできる。
ただ、鋭いツッコミをしていることが、知性の現れだと勘違いをしている。
それをどう気持ちよくさせるかが、本当の知性で、それが運につながると思っています」
言葉はナイフのように便利で欠かせないものですが、使い方によっては相手の心を傷つけてしまうこともあります。
どんな言葉を投げかけられたら嬉しいだろうか。
まず、自分へ問いかけることがスタートではないでしょうか。
運を上げるには名乗り上げる
誰でも運を開くヒントがあると角田さんは言います。
それは、「自分を名乗り、他人の目を気にしないこと」です。
「もともと営業だったけど、経理に回されたから営業ではなくなる。
会社ってそういうところだよな、と思ったのが36歳のころ。
そのときにデーブ・スペクターさんがいるじゃないですか。
彼はメディアプロデューサーと名乗っているんですね。
あの人が番組を作っているのかわからない、クールギャグしか作ってないじゃないですか(笑)。
だけど、クールギャグが面白いのはコメディアンと名乗ってないからなんです。
プロデューサーなんだけど面白いことを言う、だから面白い。
「そう思ったときに、僕にしかない肩書きである『バラエティプロデューサー』と名乗ろうと決めました。
なぜ人から仕事を植えつけられないといけないんだ。
少なくとも自分の仕事は、自分で決めようって思ったんです。
そうすれば、番組の企画が通らなくても『今はテレビ番組を持っていないプロデューサー』と認識してもらえるから」
談慶師匠が「戦い上手」という言葉をおっしゃっていましたが、言い得て妙だと実感しました。
他の人と戦わないで済むなら、極力戦わない。
PayPal創業者のピーター・ティールも 「他人と『競争』するとは、それに巻き込まれた時点で負けである」という言葉を残しています。
自身の立ち位置を自ら築き上げる。
その第一歩が、「名乗り上げること」ではないでしょうか。
オススメ本
「運がつきまくっている」芸能人や文化人に囲まれ、運に愛された角田さんだから書ける一冊。
「運って何だかスピリチュアルで怪しい」
そう思っている人こそ、オススメしたい一冊です。
運を開く道が、ロジカルに説明されています。
「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)
- 作者: 小川さやか
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/07/14
- メディア: 新書
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イベントにて角田さんがオススメしていた一冊。
Living for Today—その日その日を生きる—先住民とそこにある社会の仕組みを論じることを通じて、私たちの生き方を再考するきっかけを与えてくれます。
お金を返さない文化のある国など、馴染みのない考え方に出会えます。
談慶師匠の最新刊。
時代が変わっていく中でも、何十年、何百年と歴史が続いている落語。
なぜ廃れないかというと、価値があるから。
思わずハッとさせられる名文句に、出会えるはず。
お話を終えて
ここには書けない話も飛び出し、秀逸な比喩を交えたトークに終始圧巻。
また、目の前で談慶師匠の落語を聴くこともできて贅沢な時間でした。
「ふーん」ではなく、「うん!」とうなずくオープンな姿勢が運を引き込むことを、お二方とも体現していました。
ネットでつながりやすい現代だからこそ、リアルな場に集まり空間を共有することに価値があると実感しました。
「最近、運がないな」と思ったとき、自らの言動を省みるとその原因が見えてくるのではないでしょうか。