課題を見極め解決する 水野良樹さん 小杉幸一さん
こんにちは!
今回紹介する方は、
ミュージシャンである水野良樹さんと
アートディレクターである小杉幸一さんです!
【目次】
プロフィール
引用:https://school.qreators.jp/contents/6
水野良樹(みずのよしき)
SongWriter
1982年12月17日神奈川県出身。山下穂尊、吉岡聖恵と1999年いきものがかりを結成。 2006年メジャーデビュー。デビューシングルの「SAKURA」をはじめとして作詞作曲を担当した代表曲に「ありがとう」「YELL」「じょいふる」「風が吹いている」など。デビュー10周年を機にグループは2017年1月放牧宣言を発表。国内外を問わず、様々なアーティストに楽曲提供をする他、ラジオ、テレビ出演、また雑誌、web連載など幅広い活動を行っている。現在、J-WAVE「SONAR MUSIC」(木曜日)にレギュラー出演中。
小杉幸一(こすぎこういち)
1980年神奈川県生まれ。
武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科を卒業後、博報堂に入社。現在、 アートディレクターとして、ブランディング、イベントのほか、空間、テクノロジーを使った従来の型にはまらない広告のアートディレクション、アパレルブランドとのコラボレーションなど幅広く活躍。主な仕事に、SUZUKI「ハスラー」、キリンビール「一番搾り」、PARCO「パルコアラ?!」などがある。2015年、資生堂『50 selfies of Lady Gaga』での ADC 賞受賞を筆頭に、JAGDA 新人賞、カンヌライオンズゴールドなど国内外で多数受賞。
きっかけをつかめる学校である『QREATOR SCHOOL』にてお話を伺いました。
仕事とは課題を解決することが大部分。
第一線で活躍しているクリエーターの課題の見極めと解決方法の考え方は学ぶことばかりでした。
キャラクターは手段であり目的ではない
アートディレクターとして様々な作品の制作が依頼される小杉さん。
どのように一つひとつの課題を解決しているのか。
PARCOの公式キャラクターである「パルコアラ?!」を例にお話をされました。
「ヌケヌケとしたアホっぽい表情から想像できないんですけど、何でもある親しみやすいパルコを伝えたかった。本当はキャラクターを作ってくれというオリエンではなかった。今の世の中、デザイナーの話を聞くとやたらキャラクターを作ってくれという発注が多い。でもキャラクターを作ることが目的になってはいけない。課題を解決するための一個の手段として作らなくてはいけないと思います。作ることが目的になるとだいたい失敗する。「パルコアラ?!」の場合は課題を設定して、親しみやすさ、人格を作る、発見する役割の最適な手段としてキャラクターというやり方を選択しました」
目的と手段を混同しがちですが、小杉さんはその見極めができている。
そのため、クライアントの要望に沿った作品を提供し続けているのでしょう。
「いま行っていることの目的は何か」
原点に戻る大切さを学びました。
名曲「じょいふる」完成の背景
「ポッキー」のCMソングであった「じょいふる」。
一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。(2009年の曲ということに驚き。。)
そんな名曲の誕生秘話を水野さんから伺いました。
「CMソングというのは決まっていた。『ポッキー』というスタンダードなお菓子だけど、軽やかさがあってみんなに親しまれている。そのCMでは女優さんがダンスを踊るシリーズものの何作目かに抜擢されました。あんまり意味がないナンセンスなものが欲しい、ただ踊りだしたくなるようなものが欲しいと課題が投げられました。そこで、まずナンセンスを大事にしようと思いました。
広告ではないので、主体である『いきものがかり』がどう表現するかを重要視しました。これまではバラードだったり言葉に意味を求められるものが多くて『どういうストーリーですか?』『どういう思いで作ったのですか?』とよく言われました。ただ歌詞は意味性や文脈を持たなくてはいけないというわけではないと思ってて。例えばパピプペポという言葉と音のハマりが面白かったり楽しかったりする。そういうこともあると思ってたので、すごいハマりました」
歌詞を考える際、イメージをとても大事にしたと言います。
より具体的に、より鮮明にイメージを膨らませたのです。
「CMということでテレビでもちろん流れる。しかも若い女優さんだったのでそういう若い世代が聴くだろう。一緒に踊る人もいるだろう。もっと言えば、渋谷の街頭ビジョンにも流れる街並みもあるだろう。踊るってことはそれがブームになればいいなとか…出口がどこかと、どこまで遠くに届けるかというのは考えました。
何を考えたかというと、カラオケで若いOLさんや下の世代の女性がキャッキャと踊りながら歌って、おっちゃんの上司が『何だこの曲は?』と言ってる光景をすごい想像したんですよ(笑)。 あとは女子高生や男子高生が学校で運動会や文化祭の出し物に選ぶ曲になればいいとか。
歌がどの空間にあるかをめいっぱいイメージして書きました。ただ、具体的に『だからこういうメロディーになりました』とは語れなくて、そこは落とし込みです。出口はいつも考えて、それがある意味で一番皆さんの元に届いて思ってた通りになった成功例が『じょいふる』でした」
鮮明なゴールを思い描いた水野さん。
お話を聞いてその光景が思わず脳裏に浮かびました。
いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように…
課題を解決したら何が起きるか。
イメージすることによって湧き出るワクワクが逆境を乗り越える原動力になるのでは。
インプットの心がけ
職種は違えど、お二方に共通する点は「表現者」であること。
絶えずアウトプットをすることが仕事です。
そこで大事になるのがインプット。
インプットの際に心がけていることをお話ししました。
小杉さんは言います。
「何でもしてリミッターを外すことを意識してます。アートディレクターってこうだよね、映像を作ってはダメ、監督をやってはダメってことがリミッター。
そういうリミッターを外していろんなことを知ることが大事だと思います。クリエイターでテレビを見ないという人がいますが僕はテレビ大好きで。インターネットは自分の好きなことしか検索しないじゃないですか。情報は思いがけないところから来た方が衝撃があって。もしかしたら仕事になるかもしれないので、偶発的な情報を自分に取り入れるようにしてますね。そういった意味で僕にとってテレビは重要な媒体です。全部自分の言語にすると考えると色んなことを知っておく方がいいと思います。もし嫌いなら嫌いな理由が分かるので。色々見るとは言っても、例えるならバスケットボールのピポット状態で、常に軸足を決めてどこに向かうかを考えています」
水野さんは以下のように語ります。
「インプットはすごい悩んでいて。最近わかったのは蓄積って大事だよねということ。幅もすごい大事だけど、蓄積が武器になるのではと思います。
例を挙げると作詞家の阿久悠さんは27年間、日記を死ぬまでほぼ欠かさずに書き続けていたとのこと。テレビと新聞の気になった出来事を詳細に書く。恐ろしいなって思って。
何が言いたいかというと蓄積をなめないこと。どうしても好きなことや幅広くやればいいんだろうとなってしまいがちですが、必要なことは必要なことをして蓄積をしなきゃいけないんだなって強く感じますね。
こういう仕事をしてると『才能なんじゃないですか』、『インスピレーションなんじゃないですか』って言われるんですけど、だいたい8,9割の人は蓄積で戦っています。それで解決できる問題がほとんどなんです。もちろんそれで解決できない問題もあるけど、ほぼ解決できると思ってて。蓄積が足りなくて解決できていないのに才能のせいにしたり、運のせいにしたりしてる場合が僕を含めて多いなと思います」
お二方のインプットに対する考え方は興味深いものでした。
小杉さんがテレビを「偶発的な情報を取り入れる媒体」と捉えていることに感心。
アウトプットを常に考えている方は、同じ風景を見ていてもその感じ方が異なると思いました。
オススメ本
「いきものがかり」の10周年の歴史が詰まった一冊。
その時そのときの出会いがつながって活躍されていることを知ると感慨深い。
メンバーそれぞれが自分以外のふたりに一番気を使い、一番尊重したいと言う。
愛があふれるグループだからこそ、多くの人に想いを届けることができるのではないか。
全447ページ、じっくり読みたい一冊です。
小杉幸一の仕事 (HAKUHODO ART DIRECTORS WORKS & STYLES)
- 作者: 博報堂デザインドリブンプロジェクト
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- 発売日: 2016/04/27
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小杉さんの仕事に対する姿勢、考え方が詰まった一冊。
幼少期からの「相手を喜ばせたい」という気持ちが原点にあり今の仕事につながっているという。
実際に手掛けた作品がいくつも掲載されており、美しさに心が惹かれる。
「この作品、見たことある!」という再会ができるのでは。
読む本でもあり眺める本でもあるという印象を受けました。
お話を終えて
生きていく上で問題は必ず起こる。
そんな中でどのように解決をすればいいか。
自分に合ったパターンをお持ちである印象を受けました。
一線で活躍されているお二方が「問題解決できるのは才能ではなく日々の蓄積である」とおっしゃったことが一番心に残りました。
壁にぶつかった際は彼らの姿勢を真似て、課題の本質を見極め粘り強く解決していこう。
水野さん、小杉さんありがとうございました!
本日も読んでくださりありがとうございます。